自慢する人間は
賢明な人間のあざけりの的
愚かな者の感嘆の的
取り巻きどもの偶像
自分自身の
高言の奴隷である(フランシス・ベーコン)
「口説いてはいけない人」を口説く男へ…村上春樹のシンプルな忠告が容赦ない人間通の名言 唸る、励まされる、涙する』(近藤勝重、幻冬舎)

 話を先の小津監督の言葉「――夕食をふたりっきりで3度して、それでどうにかならなかったときは、あきらめなさい」に戻します。

 そもそも美味しいものを食べる時はテンションも上がり、うれしい気持ちで満たされるものです。食事の誘いをOKするというのは、相手のことをそれなりに憎からず思っているわけでしょうから、うまくいけばうまくいく気もします。

 ですが、3度目にも相手にその気配が感じられなかったとしたら、やはりあきらめたほうがいいのでは、と思いますね。

 ただ、人間不思議なもので、あきらめた途端、相手に対して変な余裕が出てきます。この余裕が思わぬ展開を招くこともあります。後日、逆に向こうから誘ってきてうまくいったケースもある、と聞いたことがあります。

 押しても駄目なら引いてみな、とはよく言ったものですね。