伝え方が苦手な人に勇気を与える本

手帳にはさめる超縮小版『伝え方が9割』をiphoneに取り込んでいる本田直之さん

本田 もうひとつ、これは『伝え方が9割』を読んだ、いろんな人から言われることなんだけれど、この本のもっともすばらしいところは、できる人だけができて、できない人は永遠にできない、と諦めていないこと。

佐々木文章にしても会話にしても、伝え方には技術があって、誰でも身につけることができる。これはコピーライターになったのに、何も書けなくて悩んでいた僕が、実際にトライ&エラーを繰り返してたどり着いたものですから。

本田 伝え方にも公式がある、仕組みがあるんだって気づけるところが、すごくいい。「コピーライターだからできるんでしょ」とか、「文章書くのが得意だからできるんでしょ」と片付けちゃうんじゃなくて。なんとかしたいとみんなが思っているけれど、教えてもらうこともできないし、諦めている人も多かったと思うんです。

なにより、「伝え方」を変えるだけで、人生が変わる。たとえば、自分に部下ができましたとか、恋人ができました、新しいファミリーができましたとか、そんなハッピーなことですらうまく伝えられない。それって、とっても不幸じゃないですか。

この本には、「伝え方」の技術が、誰でもできる簡単な方法にまで落とし込まれています。むしろ、伝えることが苦手だった人のほうが、素直に取り入れられるんじゃないかと感じるくらい。

佐々木 なるほど。僕自身が伝えることが苦手だったので、そういう人と同じ目線で書いているからかもしれません。

本田 ありがたいことに、よく「本田さんの本のタイトルって、いつもステキですね」なんて言ってもらえることがあります。でも僕も、子どもの頃、国語の成績は10段階で2とか3くらいで、全然得意じゃなかったんです。

 それでも、いいタイトルだとほめてもらえるのは、もっといいものがあるんじゃないか、いい方法があるんじゃないかと、常に考えているから。もちろん、感性だけでできる人もいるとは思いますが、多くの人はたぶんそうじゃない。言葉の選び方や順序にも、実は公式がある。それに気づけるかどうかだけで、本当に変わると思うんです。

 伝え方が上手になることで、自分も人も幸せにしてあげられる。もっと言えば、人生が豊かになる本。だからこんなに売れているんだと思いますね。