「ほぼトラ」→「もしハリ」で高まる独自政策の現実味、富裕層課税の強化で金融市場に大混乱リスクも民主党のハリス副大統領(右)と共和党のトランプ前大統領 Photo:Kevin Dietsch/gettyimages

「ほぼトラ」の状況が一変
ハリス勝利のシナリオが現実味

 米大統領選でハリスの勢いが続いている。ハリスは、民主党の大統領選候補者になることが決まった頃から急速に支持を拡大し、大統領選の分水嶺ともいわれた9月10日のTV討論会でも、トランプ相手に優位に進めた。ハリスの答弁は、バイデン政権の政策をなぞるものが多かったが、自身の経験や特徴などの情報を加えて説得性を高め、大きなミスなく話を進めた。また、失言や誇張表現が多いトランプの弱点を突くことにもある程度成功した。

 現在の全米での支持率は、僅差ではあるが、ハリスがトランプを上回る調査結果が多い。こうしたハリスの勢いは、勝負を決めるとされる激戦7州(ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州、アリゾナ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、ネバダ州)でも同様である。

 ハリスは、ラストベルト3州を制すれば大統領選で勝利する可能性が高いが、その3州全てでわずかながらトランプの支持率を上回る結果が多い。それだけでなく、残りの4州でもトランプ優勢の状況を覆しつつある。州単位で実施される世論調査の精度が低いとみられるが、少なくとも、トランプ相手に互角以上に勝負を進めている状況にあることは間違いがない。

 一時はトランプ勝利の可能性が高まり、日本では「ほぼトラ」という言葉まで生まれた。だが、ハリス登場後は状況が一変し、現在はハリス勝利が現実味を帯びている。こうした中、ハリス政権誕生によりどのような政策が打ち出され、その実現性はどの程度なのか検討しておくことが重要となってきた。