東京モノレールが新橋から江の島を超えて…歴史に消えた「幻の終着駅」とは?【開業60周年】Photo:PIXTA

浜松町と羽田空港を結ぶ東京モノレールが開業して9月17日で60周年となる。現代各地に普及するモノレールの方式を、都市交通機関として世界で初めて用いた東京モノレールは、いかにして生まれたのか。そして、歴史に埋もれた壮大な延伸構想とは。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

ウォルト・ディズニーも
注目したモノレールの未来性

 浜松町と羽田空港を結ぶ東京モノレールが開業して9月17日で60周年となる。しかし、世界に目を向ければその倍の開業120年を超えるモノレールが存在する。それが1901年、ドイツ・ヴッパータールに開業した「空中鉄道」だ。

 モノレールの歴史は長く、その過程でさまざまな方式が模索されてきたが、桁からぶら下がる「懸垂式」と、桁を跨ぐ「跨座式」に大別される。空中鉄道はレールと鉄輪を用いる「懸垂式」だったが、現代各地に普及するモノレールは1950年代に開発された跨座式の「アルヴェーグ式」をルーツとする。

 アルヴェーグとは開発者のアクセル・レンナルト・ヴェナーグレン(Axel Lennart Wenner-Gren)の頭文字を取ったものだ。最大の特徴は「鉄道」の概念を覆し、ゴムタイヤでコンクリートの桁上を走ることにある。ゴムタイヤは鉄輪では走行不可能な急勾配に対応でき、加減速も得意、さらに騒音も少ない。ビルの間を縫う都市交通機関として高い適正を有していたことから注目を集めた。

 これに強い関心を持ったのが、かのウォルト・ディズニーだ。その未来性、非日常性に注目した彼は、カリフォルニアのディズニーランドにモノレール建設を決定し、1959年に開業した。都市交通ではなく園内の移動手段(アトラクション)としての位置付けではあったが、その成功は大きな注目を集めた。