内縁の配偶者や同性のパートナーにも
遺言書があれば堂々と遺せる

 内縁の妻は内縁の夫の法定相続人にはなりません。したがって、内縁の夫の財産を相続する権利はありません。

 ちなみに相続以外の方法で、たとえば生前贈与や死因贈与契約によって、内縁の妻に財産を遺すこともできます。しかし、生前贈与は高い贈与税がかかりますし、死因贈与契約は特に預貯金の場合は払戻しを金融機関から拒否されるケースが多いので注意が必要です。

 また、特別寄与料(編集部注/亡くなった人の介護など、無償で貢献した相続人以外の親族が、相続人から受け取れるお金のこと)も内縁の配偶者は対象外のため請求できません。生命保険はケースによっては、死亡保険金の受取人になることが可能ですが、いずれの保険会社も条件が多くハードルが高いのが実情です。

 でも大丈夫です。遺言書を書いてあげれば、内縁の妻にも財産を堂々と遺すことができます。

条項例(2)

第○条 私は下記不動産を内縁の妻○○○○(住所、生年月日)に遺贈する。
   (不動産の表示 省略)
第○条 私は前条の遺贈についての遺言執行者に内縁の妻○○○○を指定する。

 条項例(2)は大事な住まいを財産として遺す書き方です。配偶者居住権は内縁関係には設定できないので(民法1028条など)、条項例(2)は自宅の所有権ごと遺贈する内容となっています。