もちろん遺言執行者は忘れずに指定してください。遺言執行者は内縁の妻を指定しても大丈夫です。そうすれば相続人の協力は不要なため、内縁の妻だけで手続きができます。

 条項例(3)は、遺言者には実の子どもがいるが、離婚して現在は、同性のパートナーがいるケースを想定しています。この同性パートナーに財産を遺すときの遺言書の記載例が、条項例(3)です。

条項例(3)

第○条 私は下記の財産を○○○○(住所、生年月日)に遺贈する。
   (財産の表示 省略)

第○条 私は前条で遺贈する以外の財産のすべてを長男○○○○に相続させる。

 同性カップルも内縁の夫婦同様にパートナーの財産を相続することができませんが,遺言書で遺せば可能です。なお、遺言者に法定相続人がいる場合は遺留分侵害額請求のリスクも考慮したうえで書いてください。

 もし「パートナーの存在を息子に伝えたいけど俺が生きてるうちは控える」という人は付言にて思いを伝えながらカミングアウトしてみてはいかがでしょうか。

 また、お互いのために書き合う夫婦相互遺言のようにパートナー相互遺言(連名の遺言書ではありません)を作るのもよいですね。今後、法改正があるかもしれませんが、現行法でも遺言書なら大事なパートナーをしっかり守ってくれます。