山下は、千代のセルフネグレクトについてこう語る。
「いつか父のように家の中で倒れて、孤独死しているんじゃないかと気になって仕方ないの。私たち医療者が訪問できるのは数日おきなので、毎日様子を見に行けるわけじゃない。
一番の心配は、偏った食生活による急死ですね。マンションのすぐ近くにファミレスがあるんですが、河合さんは毎朝、ファミレスでとんかつやハンバーグを食べているみたいなんです。
そんな不摂生をやめようとしないから、血糖値が一気に跳ね上がる。高血糖の発作がいつ起こって、意識障害で倒れていてもおかしくない、危険な状態になっているんです」
元キャリアウーマンの彼女がなぜ?
極度の買い物依存でゴミ屋敷に変貌
千代は大学卒業後、都内で秘書として働き、定年まで勤め上げた。いわば、バリバリのキャリアウーマンだ。3LDKのマンションは持ち家で、ローンは完済している。独身で一人暮らし。
きょうだいはいるが、ゴミ屋敷ということもあって誰も彼女に関わろうとはしない。年金の中から好きなものを食べたいときに食べて、買いたいものを買う。そんな生活がたたって、深刻な糖尿病を患って数年が経過していた。