最近ではマンションのゴミ置き場に行くことすら面倒とあってか、汚物のついたおむつが入ったゴミ袋を共有フロアに置きっぱなしにするようになった。
あまりの異臭に、同じマンションの住民からの苦情が絶えない。それを耳にしたマンションの管理人がしぶしぶ撤去するという日々が続いているのだという。
さらには、千代は極度の買い物依存だった。テレビショッピングやポストに投函されたチラシを見ると、衝動を抑えられずにすぐ電話して購入してしまう。
しかし、商品がいざ届くと興味を失って、中身も開けずに箱ごと放置する。その繰り返しによって、部屋は未開封の段ボールや、新品の洋服、家電などで溢れ返り、ゴミ屋敷に変貌していた。
山下は、モノで溢れたゴミ屋敷に、父の幻影を見る。
「バッグや洋服を買ったり、靴を買ったり。それで一瞬は心が満たされる。テレビショッピングとか、視覚的なものに刺激されて、どんどん際限なく注文してしまう。でも、捨てられずに部屋の中にモノが溜まっていく。その繰り返しでゴミ屋敷になってしまう。
女性も家電製品が好きなんです。可愛い色の新商品が出たりとか、パステル系の家電を見るとつい欲しくなって、持っているのに、2個も3個も購入してしまう。父の部屋にも同じような鍋が、3つも4つもあったりしました」