「なでしこジャパン」はなぜ
世界一になれたのか?

 2011年にドイツで開催された「FIFA女子ワールドカップ」で、女子サッカー日本代表チーム「なでしこジャパン」が初優勝を成し遂げました。日本のチームがサッカーの世界大会で初めて頂点に立った、この快挙を支えたのも「誰かのために」という思いでした。

 その年の3月11日に東日本大震災が発生。東北地方を中心に地震と津波で大きな被害に見舞われました。

「日本中が震災で大変なときに、私たちは海外にサッカーの試合に行っている場合なのか……」

 大会を控えて合宿していた選手たちの間にも疑問と葛藤が生まれ、「大会に出場すべきか、辞退すべきか」と喧々諤々に議論したこともあったそうです。

 当時のなでしこジャパンを率いていた佐々木則夫監督は、準々決勝のドイツ戦、そして決勝のアメリカ戦を前に、選手たちにある「映像」を見せました。そのときのエピソードを、次のように回想しています。