高齢化が進む西側諸国に移民がもたらす恩恵の一つとして、経済学者がよく挙げるのは財政の健全化だ。移民が増えれば、若く生産性の高い労働者の供給が拡大し、彼らが納税することで高齢者の年金や医療費が賄われるという理屈になる。だが新たな研究によると、移民による財政への影響はそれほど単純ではない。高技能移民が財政に恩恵をもたらすのは明白だが、低技能移民はさほどでもなく、場合によっては「持ち出し」となる、と一部の研究は示している。確かに、移民を巡る議論で目下焦点になっているのは財政面の効果だけではない。他にも労働力不足を緩和したり、人口減少に対抗したり、定住するコミュニティーの既存の性質を変えたりするのに移民は一役買っている。