東海道新幹線が開業60周年を迎えた10月1日、大きなニュースが入ってきた。朝日新聞デジタルが「『貨物新幹線』を開発へ」として、「JR東日本が、座席がなく荷物だけを運ぶ専用車両を開発する方針を固めたことがわかった」と報じたのである。古くは東海道新幹線の計画時にも検討された「貨物新幹線」構想が、なぜ今、注目されているのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
新幹線に荷物専用車で
輸送量アップをめざす
「貨物新幹線」という語句にはインパクトがあるが、機関車が貨車をけん引するような貨物列車のイメージとは異なる。後追いの日本経済新聞デジタル版は「『荷物新幹線』の専用車検討」と題して、貨物と荷物のすみわけについて「石油やコメなど重量のある品目を長距離輸送するJR貨物に対し、JR東は生鮮品や電子部品といった高単価で比較的小さい荷物を運ぶことで差異化する」と解説しており、こちらの方が分かりやすいかもしれない。
ただ朝日もJR東日本の狙いを「乗客と荷物(貨物)を一緒に運ぶ『貨客混載』サービスに力を入れており、1編成の新幹線に荷物専用車を組み込むことで、輸送量アップをめざす考え」としており、趣旨は同じである。
朝日の記事には匿名のJR東日本関係者のコメントもあるが、同社広報は「多量輸送事業化により、さまざまなニーズに対応できる可能性があることから、ソフト面、ハード面での検討を進めていることは事実」とした上で、「引き続き、ソフト面、ハード面含めた検討を進めていきます」と述べるにとどめた。