東海道新幹線の計画時にも
貨物電車列車の運行を検討
ただ現時点では、車内販売準備室に3辺の合計が120センチサイズの段ボールを最大40箱搭載するのがやっとで、輸送力は限られている。そこで客室内に数百箱を搭載する「多量輸送」の実証実験を昨年から行っており、2025年度にサービスを開始する予定だ。
朝日は「需給を踏まえて将来的には専用列車を編成することも視野に入れる」としているが、現時点では多量輸送実証実験と同様、編成内の一部客車を荷物専用とする運用から始まり、続いて荷物専用車両を開発し、旅客列車に連結する構想だ。
現在、JR東日本が開発する時速360キロ運転を見据えた試験車両「ALFA-X」は、高速運転に伴う騒音を抑制するため、ノーズが先頭車両の半分以上に及んでいる。十分な客室スペースを確保できないため、荷物車として活用する案もあるようだ。編成の中間に設定すると旅客の通り抜けが困難になるが、先頭車両であれば解決する。
では、一般にイメージされる「貨物新幹線」が実現することはあるのだろうか。これまでにこうした構想がなかったわけではない。古くは東海道新幹線計画時、品川(将来的には大井ふ頭に乗り入れ)、静岡、名古屋、大阪に貨物駅を設置し、5トンコンテナを横積みする貨物電車列車の運行が検討されたことがある。
貨物列車は深夜時間帯に最高速度時速150キロで、東京~大阪間を約5時間30分で結ぶ計画だった。これは決してペーパープランではなく、新幹線の構造物には貨物列車の走行を前提とした設計基準が定められており、貨物駅の用地買収や準備工事も一部に行われた。
だが、夜間の線路保守作業が想定以上に必要だったこと、新幹線騒音公害が社会問題化したこと、また在来線貨物列車の高速化で東京~大阪間が8時間になったことで、新幹線に無理をしてまで貨物を走らせる必要がなくなった(ちなみに現在は最短約6時間で走破する)。