運転免許を取得したいと思って自動車教習所を調べてみると、「公認」「非公認」「指定」「届出」などと、いくつか種類があることに気付く人も多いでしょう。その違いは何か。それぞれ、どんな特徴とメリット・デメリットがあるのか。モータージャーナリストで安全運転インストラクターも務める専門家が解説します。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
知ってるようで知らない
自動車教習所と運転免許の歴史
日本で自動車免許を取る場合は、自動車教習所に通うのが最も一般的でしょう。ただし、教習所に通うのは義務ではありません。運転免許試験場での試験を合格できれば、必ずしも自動車教習所に通う必要はないのです。
しかし現実は、運転免許試験場で合格を勝ち取るのは難易度が高く、また、試験日の予約を取ったり、手順が面倒だったりするので、多くの人が自動車教習所に通って免許を取得しています。
さて、ひとくちに教習所といっても、実はいくつかの違いがあるのをご存じでしょうか? それを知るためにも、まず、日本の運転免許の歴史を振り返ってみましょう。なお、本稿で特に説明していない部分については、普通自動車第一種運転免許に関するものです。
日本で最初の運転免許は、1903年(明治36年)に愛知県で始まった、「乗合自動車営業取締規則」だと考えていいでしょう。その名の通り、バスなど乗合自動車を運転するための免許です。そして、自家用車を運転するための免許は、1907年(明治40年)に東京府内(当時)で始まった、「自動車取締規則」による「自動車運転手鑑札」の発行が最初です。その12年後、1919年(大正8年)に、「自動車取締令」によって運転免許制度が施行されます。これが日本における全国統一運転免許の始まりです。
では、自動車教習所はいつ、どのようにして始まったのでしょうか? こちらの歴史も振り返りながら、今回の本題である「公認・非公認教習所のメリット・デメリット」について解説します。