「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の発売に合わせ、安藤氏に本書のエッセンスを解説していただいた。(構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)
思考をスッキリ整理する「3つの箱」
安藤広大(以下、安藤) 意思決定をむやみに先延ばしにするのはNGですが、判断材料が全く揃っていない状態でやみくもに決めていいというわけではありません。
意思決定の質を高めるには、以下のイメージ図のように「3つの箱」を使って思考を整理するのが有効です。
1つめは「即決の箱」です。この箱には、十分な情報があって、選択肢も明確に存在している意思決定事項を入れます。こうしたケースでは、チームメンバーの意見を全て聞くまでもないので、スピーディーに意思決定しましょう。
しかし、情報が少なく、即決できないケースが多々あります。そういう場合は、2つめの「情報不足の箱」に入れます。この箱に入れたら、意思決定に必要な情報を特定して、その情報の入手に取り組むようにチームへ指示を出すことが必要です。
3つめは、「期限を設定する箱」です。これは、いま取り組んでいることを継続するかしないかを、ある程度時間をかけて判断したいときに使う箱です。このときは、ダラダラと保留状態が続かないように、「1週間後」や「1か月後」などといつまでに意思決定するかを必ず定めておきましょう。
「3つの箱」への分類は、チームの生産性を上げる
安藤 意思決定すべき事柄を「3つの箱」のいずれかに分類しておけば、チームメンバーも何をすればいいか迷うことはありません。
たとえば、ある意思決定が「即決の箱」に入ったら、その意思決定にもとづいてチームは動き出します。「情報不足の箱」に入ったら、情報収集がチームのミッションになります。「期限を設定する箱」に入れば、期限が来るまでは意思決定が行われないので、別のことに集中して取り組むことができます。
もちろん、どんな意思決定でも「即決の箱」に入るのが理想ですが、現実にはそうならないケースの方が多いと思います。そんなときに、何となく放置するのではなく、「情報不足の箱」もしくは「期限を設定する箱」に分類することで、チームの進むべき方向性を示すことができます。
大事なのは「未来からの視点」
安藤 なお、意思決定においては、組織・チームにとっての「未来からの視点」に立って全てを判断しなければいけません。つまり、「未来の組織や自分が得をするかどうか」で意思決定すべきだということです。
たとえば、これまで紙で管理していたデータをスプレッドシートに統一するかどうか。これは本書でも紹介した事例ですが、目先のことだけを考えれば、新しいスプレッドシートをゼロから作ったり、使い方を周知したりする労力はそれなりに大きいです。
しかし、「未来」に視点を置いて長期的に考えると、全員がスプレッドシートの使い方をマスターすれば日々の作業時間が大幅に短縮されるので、紙で管理していた時代には後戻りできなくなります。
将来的に自分たちが利益を得ることが確実であれば、短期的には多少のデメリットがあっても、毅然と意思決定しないといけません。リーダーのみならず、あらゆるビジネスパーソンがこのような思考法を持っておく必要があります。
(本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏の特別講義をもとに構成したものです)
株式会社識学 代表取締役社長。
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。