セブン-イレブンは、店内で揚げたドーナツの販売を9月から開始した。スタートは首都圏だったが、好調な売上を受けて全国販売する方針とのことである。レジ横でのドーナツ販売は2回目だが、今回は前回と違い店内で揚げているのだという。後に引けないこの挑戦を、かつて「セブン信者」を自称するほどセブンが好きだった筆者が分析する。(フリーライター 武藤弘樹)
二度目の「レジ横ドーナツ」販売から
読み取れるセブンの覚悟
セブン-イレブン(以下「セブン」)のドーナツといえば袋入りの菓子パンポジションのものだが、レジ横で専用什器に入れて軽食・スナックとして販売されていた過去(2014~17年)もある。二度目の挑戦となるレジ横ドーナツ、決して失敗したくはないというセブンの覚悟が感じられる。
「大手コンビニがドーナツを再度売り始めた」というだけのことではあるが、細かく見てみるといくつかのことが示唆されている。それは、このレジ横ドーナツの評判から読み取れる「日本で多数に期待されるドーナツ像」や「復権をかけたセブンの挑戦」などである。これらについて触れていきたい。
まず、セブンの新ドーナツは味が3種類あって、価格はメープルのみ130円、チョコとカスタードが149円(税抜)である。工場から冷凍で送られてきた生地を店内で揚げているところがセールスポイントだ。7年前に撤退した際には、工場ですでに揚げられたものがすぐさま店に運ばれて、そのまま販売されていたから、完成までの行程が大きく違う。
セブンでは2021年6月から「お店で揚げたカレーパン」の販売を開始し、23年に「最も販売されている揚げたてカレーパンブランド」としてギネス認定されるほどよく売れた。先月からの新ドーナツはこの揚げたてカレーパンのノウハウを生かした上での展開であろう。
コンビニ王者の宿命か、新ドーナツは発売前から「(1つのフライヤーで調理することから)カレーパンの気配を感じるドーナツになるのだろう」などなど、結構ワーワー言われていたが、発売後は実際に食べた人による感想が聞こえてくるようになって、少しだけ風向きが変わった。世論の「一部の消費者がただなんとなく気分で叩いている感」は、情報量が相対的に少なくなったためか、薄れていったのであった。
その感想もアリかナシかにわりとハッキリ分かれるのだが、少なくない割合の人がミスタードーナツ(以下「ミスド」)と比較を行っていた。