しかし時がたち、その筆者も少しずつセブンから足が遠のいていった。以前は徹底した客目線の企業努力を貫こうとする姿勢を尊敬してやまなかったのだが、いつしか「さん」付けで呼べるほどの感情を抱けなくなっていた。

 筆者が好きなツイストドーナツにチョコがかかった3本袋入りは時折商品ラインナップから消えるし、昨今の物価高で商品単価が軒並み上がると「高くてもうまいから買うだろ」という傲慢な姿勢に映ってしまい(個人的な被害妄想含む)、ちょうどそのタイミングでファミマのパンがべらぼうにおいしくアップグレードされたことを知ってそちらにハマり、いよいよセブンに行く機会が減っていった。セブンのカリスマがかすみつつあったのである。

 一方ファミマでは、弁当などで「たぶん40%」増量キャンペーンを定期的に始めていて、これが実際測ってみると70%の増量だったりしてSNSで話題となり、「ファミマは神」といったことが言われるようになった。

 スイーツや新商品の企画力に定評があるローソンは、堅調にファンを獲得していて、サイトによってはセブン、ファミマを押さえて「好きなコンビニランキング」1位に輝いたりしている。また、業績で見てもファミマ、ローソンに比べてセブンだけが独り負けしているというデータもある。

【参考】
ダイヤモンド・オンライン「王者セブンが減収減益、コンビニ業界で『独り負け』!独自入手のエリア別売上高データから浮かぶ不振の真因」
https://diamond.jp/articles/-/347722

「消費者のカリスマ」へと返り咲け
ドーナツが復活の試金石に?

 名実ともに1位だったセブンには危機感があるに違いなく、かつてファンだった消費者としては、「セブンにはあの頃のカリスマを取り戻してもらって、自分を満足させてほしい」といった願いがある。ここに、ファミマとローソンに負けじとする企業努力が加わってくれば最高である。コンビニの商品は際限なくクオリティが高くなり、消費者は満足この上ない。

 セブンの「レジ横ドーナツ」復活は、その奮闘の一環である。「胃袋のセブン」として、消費者の前で謙虚な王者として返り咲くために、ぜひその試みを昔ファンだった者としてゆるやかに見守りたい。