2028年3月期からオペレーティングリースのバランスシートへの資産計上が義務付けられる。影響の大きい業種はどこなのか。特集『激震!新リース会計 財務悪化リスクランキング』(全9回)の最終回では、日本基準の上場企業全体について、新リース会計基準の適用による財務悪化リスクの高い企業を独自に試算したランキングを掲載する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
リース会計基準の変更で融資態度や
格付けに大きな影響はないが…
2028年3月期から日本基準でもオペレーティングリースのバランスシートへの資産計上が義務付けられる。国際会計基準や米国のSEC基準など海外の会計基準に合わせるためであり、同基準で比較できるようになるという点で必要な変更だ。
オペレーティングリースをバランスシートに資産計上したからといって、企業の実態は変わらない。金融機関の融資態度や企業の格付けにも大きく影響することはないとみられる。
しかし、新基準適用により総資産が膨らむことで自己資本比率は低下する。リース資産にほぼ見合う形でリース債務も増加する。ROA(総資産利益率)のような、対総資産の効率性を示す指標も悪化する公算が大きい。基準変更の影響が大きい企業は投資家に対する丁寧な説明が必要になるだろう。
現在、決算期末時点で、オペレーティングリース契約に関わる未払いのリース料は未経過リース料期末残高として財務諸表の注記に記載される。未経過リース料を資産として加えることで新リース会計基準適用後の姿を推測することができる。
新リース会計の影響が大きい企業はどこなのか。
次ページでは、独自試算であぶり出した、新基準適用で財務悪化リスクが高いランキング総合版を公開する。