自分に合う家具の見つけ方
初めに訪れたのは、グリートの姉にあたるカレンさんのお宅です。カレンさんには一人息子がいますが結婚しているので、夫のオイビンさんと二人暮らしです。週に一度は友達を招待して食事をするそうで、やはりこのお家にも椅子が多いのです。リビングには、ソファ2台と13脚の椅子がありました。
まずは5年前に買ったというソファについて、購入するまでの過程について聞いてみました。
「このソファは1年間かけて買ったの。お店は5軒も回ったし、友達の家の家具、雑誌、インターネットでいろいろ見たわ。一度お店で見て気に入ったので、家に帰って話してそれで2人で決めたの。ダイニングテーブルも、椅子も少なくとも買うまでには1年はかけるわ。
買うまでのプロセスは長いし、時々挫折しそうなときもある。それでも、いろいろなものを見ると、自分の好みがより明確にわかってくるでしょ。だから時間がかかってもいいの」
質の高い家具とはどのようなものなのだと思いますか?と聞くと、こう返ってきました。
「機能的でないとだめ。それと見るに値するもの。あとは何年も長続きするもの。5年でだめになって捨てるものじゃない。今後の人生を一緒に歩むもの。30年間は使えるもの」
あなたにとって家、家具とはなんですか?と聞くと、「魂の一部だと思う。自分たちが誰なのかを表していると思うんだ」とオイビンさんは言います。
カレンさんとオイビンさんにとって家具を購入して家をデザインすることは、人生の一大プロジェクトなのです。デンマークのアウトドアの家具ブランドTripTrapのデザイナーで、店のオーナーでもあるモーゲンさんによると、自分に合う家具を見つけるために、デンマーク人の顧客は家具の購入に至るまでに通常2~4回お店に足を運ぶそうです。
そんな彼らのニーズにあったものを提供するため、モーゲンさんは、お客さんとの会話を大切にしているそうです。普段どのように暮らしているのか、余暇の過ごし方から、どんな本を読んでいるのかまで質問するそうです。デンマークで自分に合った家具を見つけることは、個性を追求する旅に出掛けることなのです。