デンマーク人はなぜ家具のセンスが良いのか?
デンマークに来て驚いたのは、デンマーク人の選ぶ家具のセンスの良さです。カレンさんとオイビンさんにセンスの良い理由を聞いてみました。
「デンマークは寒い国。世代に渡り、明日のことを考えなくてはいけないというアイデンティを僕達はつくってきた。家具を選ぶのは、パートナーを選ぶのと同じ。
それは来週、来月、来年、と一緒に明日のことを考えられる人を探すことなんだ。夏には冬のことを考えなくてはいけない。長持ちするという安心感を探しているんだよ」
他のヨーロッパの国の人々のセンスについてどう考えているのでしょう。
「イタリア人の男女は、ファンシーな服をきて、目立つ車にのっている。でも家はシンプル。彼等の人生は家の外にある。イタリアに行くと、家には招待されない、レストランに招待されるからね。
デンマーク人はいつも家に招待する。だっていつも寒いから。昔から冬がくる頃には、家の中で十分に広くて暖かい空間をつくることが大事だった。それがヒュッゲ(暖かい、居心地の良い雰囲気を表すデンマークの言葉)のアイディアを作ったんだ。
家はみんなが近くにいて、暖かくて、居心地の良い場所でないといけない。デンマーク人は暖かい気候の国に住む人よりもっと家の中に人生のシーンがあるんだ。
両親、祖父母から受け継いだものはある。でもそんなにたくさんは置かない。デンマーク人は過去や思い出に生きないからね。気候のことがあるから明日のために、賢く生きないとだめ。家は変化に対応するためのスペース。そのために少しだけ、重要なもの(家族から受け継いだもの)を置くのが大切なんだよ」
デンマーク人にとって、家は社会の延長線上にあるものなのでしょう。寒い気候が続くので、心地よい空間が必要です、しかし心地よい空間や時間は自分一人だけのものではなく、友人と共有することが彼らにとって重要なのです。
だからこそ家具を選ぶときは、居心地の良さと個性の両方を追求することが重要なのです。また彼らはそれらが簡単に見つかるものではないことを知っています。家具を見つけることは自分を見つめるプロセスだからです。
生活の基盤を感じる空間を確保したら、積極的にトレンドやインスピレーションを探しに出かける。その中で時間をかけて自分に合ったものを見つけるプロセスが、彼らのセンスを磨いてきたのかもしれません。