米ニューヨーク州ロチェスター在住のエイプリル・リトルさん(38)が15年前に、年収30万ドル(約4400万円)の生活ができると告げられたら、金銭面でストレスのない暮らしを思い描いていただろう。「白い柵で囲まれた家――私の脳裏にはっきりしたイメージがある」。企業の人事担当幹部からキャリアコーチに転身したリトルさんはこう語る。「ありがたみが分からないと思われたくないが、よく言われる『山頂』にたどり着くと、多くの出費があることに気づいた。それに持ち家もまだ手に入れていない」それが「high earner, not rich yet(HENRY=高所得だが、まだ裕福ではない)」と呼ばれる米国人のぜいたくとは言えない生活の実態だ。