私が監督を務めていた頃、流経大柏高校ラグビー部の部員は、各学年で平均20~25人ぐらいいた。毎年、それだけの人数の卒業生1人ひとりについて、3年間の思い出を語るのは時間がいくらあっても足りないくらいだ。

 指導者である私自身が1人ひとりにどれだけ目をかけ、真剣に向き合い、成長をサポートしてきたかが、試されるときでもある。

 1人ひとりの思い出話のあとには本人へのメッセージを添え、たとえば、その部員が挫折を乗り越え成長する姿を、私がどんな思いで見守っていたかという気持ちを伝えた。

本当の意味でのメダリストは
花園に出られなかった部員たち

 親御さんたちはとても喜んで下さった。私の思い出話をとおして、わが子の成長ぶりを改めて実感してくれたことだろう。

 それも大きな励みになり、私は指導に打ち込んでいた。

 話を戻すと、卒部式でOBが卒業生だけでなく、2年生、1年生とも試合をしていたことには大きな意味がある。

 スポーツ競技では、レギュラーメンバーとして試合に出ている選手にスポットライトが当たるもので、それはラグビーに限らない。

 だがチームには、一生懸命頑張ったにもかかわらず、レギュラーに選ばれなかった選手が数多くいる。