エディー・ジョーンズ氏がリーダーシップ論を直伝!ラグビー日本代表の歴史的一戦にも大注目Photo:Dan Mullan/gettyimages

2015年のラグビーW杯で優勝候補、南アフリカに勝利した世紀の番狂わせを導いた前ラグビー日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏(現ラグビー・イングランド代表ヘッドコーチ)を直撃。今年には初の自叙伝『エディー・ジョーンズ わが人生とラグビー』を上梓した同氏に、本書で語りきれなかったリーダーシップ論や、そのビジネスへの生かし方、日本時間26日夜にブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとの歴史的一戦に臨むラグビー日本代表への思いに至るまで余すことなく語り尽くしてもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

エディー・ジョーンズ氏が直伝!
「南ア撃破」を導いたリーダーシップ論

――15年のイングランドW杯で日本が南アフリカを破った「ブライトンの奇跡」では、試合終了直前に日本がペナルティーを得た際、スクラムを選択してトライを狙いに行ったリーチ・マイケル選手らに激高して思わずトランシーバーをたたきつけたとの逸話が新著に出てきます。一方で以前、代表のメンタルコーチを務めた荒木香織氏に取材した際は、これこそが理想的なリーダーシップ像である「変革型リーダーシップ」(「4年前の『南ア戦の奇跡』立役者が指南!ビジネスに役立つ心の鍛え方」参照)を選手たちが自ら発揮したものだと評価していました。改めて、あの歴史的瞬間をどのように振り返りますか。

 今では、荒木さんの言うことは100%正しいですね。確かにあの瞬間、私は激怒していました。ただすぐに、これこそまさに私たちが望んでいたことだと思い直しましたよ。

 キャプテンのリーチ・マイケル選手の決断は大きかったですが、彼のリーダーシップだけでなく、その決定を実行できるのはチームメンバーたちのフォロワーシップあってこそでした。こうした形は、いかなる会社やチームでも考えられるものです。チームがチームとして機能するときは、まさにこのようなハーモニーが実現するといえます。

 ラグビーのチームプレーも、会社の社員同士が調和して共に機能することも、人々が同じ屋根の下で共同作業を行うことも根は同じです。こうした調和した状態こそ、リーダーシップが力を発揮する領域でもあります。

 リーダーはこのように組織がうまく機能する状態にあるのか、常に注意深く観察し、何かが起きた際は再び結びつきを強くさせる必要があります。このような絶え間ないプロセスこそが、まさにリーダーシップの役割であると言えるのです。

――新著ではしばしば「マインドセット」の重要性を説いています。スポーツ全般において、強豪国はしばしば「勝者のメンタリティー」を備えると形容されますが、このようなマインドの在り方はどのように形作ればよいのでしょうか。