もちろん、家庭に問題があるため、子どもが家に居着かず、それが不良交友関係を形成するための原因になるということはあります。また、親子の関係が希薄だと、子どもがどこで誰と遊んでいるかわからず、非行グループと接触していることに気づきにくいこともあるでしょう。ただ、それはいずれも直接的な原因ではないため、家庭環境に問題があることで非行に走るというのは、短絡的な考えと言えるのです。
非行の原因としては、友人関係の影響のほか、本人のパーソナリティの問題も大きいものです。欲望や感情を抑えられない、欲求不満耐性が弱いといったセルフコントロールがとれないタイプが非行に走りやすいとされています。もちろん、実際に犯罪を犯したあと、少年を更生させるプロセスでは、家庭の存在が重要であることは間違いありません。
不良グループに入ってしまうのはなぜ?
友人の影響で非行に走る人の事例は、サザランドによって提案された「分化的接触理論」である程度は説明できます。
私たちの行動のベースとなる価値観は、身近な他者からの学習によって作られます。そのため、学ぶ相手が法律を軽視し、反社会行動をとることがあると同じような行動をとるようになるのです。そして、同じような価値観の人といると安心感が生まれるため、不良グループに入ることになります。
ただし、この理論では不良とつき合っていても、非行少年にならない人がいるのはなぜかという疑問が生まれます。