部下が、すべてを吐き出せるような環境づくりを

 世代や生活環境の違いがあるので、思考や価値観にギャップがあるのは当然のこと。「若手と何を話したらいいのかわからない」という上司や中高年社員も少なくないだろう。そんななか、興味を持っているものや趣味・特技などの共有が、相互理解を生み出すことにつながるとスマイリーさんは語る。

スマイリー Z世代やフレッシャーズにとって身近なSNSはTikTokで、Facebookは中高年がメインと思うかもしれませんが、Facebookは世界中に30億人以上のユーザーがいて、影響力の大きいSNSです。僕が上司なら、まずは、Facebookで部下の様子を知るところから始めるかな。怖いですか?(笑) だけど、似たような話が実際にあって、いまどきのお母様たちは、裏アカウントを作って、自分の子どものInstagramに「いいね」をつけるそうです。我が子がどんな毎日を送っているのかをSNSでチェックするのは日常茶飯事。管理職や中高年の皆さんは、Facebook などのSNSで、「休日は釣りをしています」「いま、ゲームアプリにハマっています」といったメッセージをしておくと、若手社員との会話の糸口ができるかもしれません。

 そして、若者たちだけに挨拶を強いるのではなく、自分も、笑顔で、「おはよう」「お疲れさま」と積極的に挨拶することが大切です。上司が険しい顔つきで淀んだ空気に包まれていたら、それが部下にも伝染しますから、上司は、職場に良い影響を与える態度を心がけたいですね。さらに、部下や若手社員がいつでも愚痴を言える環境が大切です。これは親子の間柄でも言えることで、相手の言葉に引っかかることがあった時に、「ちょっと待って、そうじゃなくて……」と、話を止めるのではなく、「うん、そうだね」「わかるよ」と相槌を打ちながら、最後まで話を聞いてあげること。相手が委縮しない環境づくりが重要だと思います。

 どのような世代、業種においてもストレスは付きものだが、スマイリーさんは、「僕の周りの芸人の間では、ストレスもハラスメントもない」と微笑む。また、「講演や協会の活動を通して、多くのビジネスパーソンと出会い、異業種の人たちとのふれあいから学ぶことも多い」と言う。

スマイリー 会社勤めの方の話を聞いていて、「そういうことがセクハラにあたるのか。それもパワハラになっちゃうんだ」と驚き、「大変だなぁ」とつくづく思います。まったく違う世界に身を置いている僕だからこそ、自分の会社や仕事の愚痴を聞かせてくれるのかもしれませんね。

 そして、企業で講演をさせていただくと、心を病んでいる管理職の方が増えていることに気づきます。ストレスを溜めないために、逃げ道を作っておく――ツラいと感じた時は「ツラい」と吐き出すこと。「ツラい」を我慢するから、いっそう深刻になってしまうわけで、苦しかったら「苦しい」と言っていいと思います。いちばん大切なのは“自分自身”ですから、セルフコントロールをしながら、ご自分の“ココロとカラダ”を守っていただきたいです。