リポストは「連帯保証人になります」というサイン

 日本全国を忙しく飛び回り、SNSのマナーやネットリテラシーの重要性を説き続けているスマイリーさん。講演会では、子どもから大人まで、幅広い層の人たちと交流し、意見の交換を行っている。

スマイリー いまの子たちの多くは、人とコミュニケーションをとることが苦手だと、僕は感じています。「相談窓口はここにありますよ」と伝えても、実際は他人になかなか相談できない、窓口に行けない、電話なんてなおさらダメで、LINEがギリギリというところ。抱えたものを吐き出すことができず、行き着く先はX(旧Twitter)。それも表のアカウントではなく、愚痴用の裏アカウント。SNSでつながった人とやりとりし、相手はどこの誰かもわからないのに、心理学の話などをされると、いとも簡単に信じてしまう。本来はきちんとした機関でカウンセリングを受けるべきなのに、心が弱っているから得体の知れないものに手を出してしまう。負の連鎖です。

 SNSは、私たちの生活に当たり前に存在し、情報を得る人、つながりを求める人、身の周りで起きたことを発信する人など、コミュニケーションツールとしての利用方法はさまざまだ。

 そうしたSNSでの私たちの行動のひとつに、Xのリポストがある。投稿主の発言に対しての「賛同・共感」という軽い気持ちでリポストをしがちだが……。

スマイリー 最初の投稿が「借金」だとしたら、リポストは「連帯保証人になります」というサインにあたり、思わぬところで誹謗中傷に加担してしまう可能性があるので、炎上に巻き込まれないように気をつけなければいけません。さらに、1年前にOKだったことも、時間を経て、モラルやメディアポリシーに反したかたちになることもあるので、しっかりと見極める目が必要です。

 SNSでは、 “感情”が絶え間なく流れてきて、私たちは、そこから、好きなものや興味があるものをチョイスします。InstagramやTikTokには「喜」や「楽」があふれているけれど、Xには「怒」が目立ちます。人間の感情の中では、「怒」が最も拡散しやすいので、他人の怒りを自分の怒りに変換してしまわないよう、アンガーマネジメントを日頃から意識することが大切でしょう。

 街なかでは多くの若者が“映え”を求め、自分をアピールするために、笑顔で自撮りをしている光景が見受けられる。そして、写真を撮り終えたとたん、真顔に戻る人がほとんどだ。スマイリーさんは「自撮りの表情を普段から意識すればいいのに……」と言う。

スマイリー 写真を撮る時だけニコッとするのではなく、常に笑顔でいたほうがいいです。笑顔でいれば、自然に気持ちが明るくなりますし、その明るさにつられて、人が寄ってきます。僕は、祖母から「いつでも笑っていなさい。笑っていればどうにかなる」と言われて育ちました。そして、50歳を過ぎた現在(いま)も、寝る時は口を真横に「ウンッ」とやって、微笑みをつくってから寝るのです。それを形状記憶したら、同じ顔で死ねるんじゃないかなって(笑)。身近な人たちに「死んでいる時も笑っているよ。マジで“スマイリーだ”」と言われながら旅立っていく――そんな最期が僕の理想です。