職場の上司はいまどきの部下とどう接するべきか
組織に所属していると、性格的に「合う人」「合わない人」がいて、学生同士なら、“距離を置く”こともできるが、社会人だとなかなかそうはいかない。スマイリーさんの場合は、ユニークな方法で、「合わない人」に向き合っている。
スマイリー 人間ですから、どうしても、「好き嫌い」が生じます。100人の相手全員が好きなんてことはあり得ません。僕の場合は、苦手な人を脳内で「もっとイヤな人」に仕立てます。その妄想がMAXに到達した状態で本人に会うと、「あれ? そんなにイヤな人でもなかったな……」と拍子抜けし、さらに、良い挨拶をされてしまったら、途端にいい人にすら思えてきます(笑)。
対人関係において僕が大切にしているのは、「誰かを貶(けな)すより、褒めたほうが、自分にとってプラスになる」ということ。その人の素敵なところを見つけ、それを言葉にしてすぐに伝える。結果、とても良好な関係になって、腹を割って話せるようになることもあります。
今年4月に入社した新入社員は、学生時代をコロナ禍の真っ只中で過ごした人がほとんどだ。学校の授業や大学の講義はオンライン、同級生ともマスクを着けて会うのが日常だった。現在、そうしたフレッシャーズ(若手社員)とのコミュニケーションに苦労している上司も多いのではないか?
スマイリー 講演で訪れた学校の生徒たちが言っていました――「マスクを外した時の、同級生やクラスメイトの顔がわからない」と。そして、卒業アルバムの撮影時にマスクを外して、「そんな顔だったの⁉って驚いた」と。上司や先輩社員は、そうした経験を持つ部下とのやりとりで困惑することがあるかもしれませんが、人は十人十色。あらゆる接し方があるので、悩んだところで解決には結びつきません。ですから、ビクビクせずに、「どんなことでも受け皿になる!」とウェルカムな気持ちでいたほうがうまく応対できるのではないでしょうか。
上司が軽い気持ちで発した一言がハラスメントとなって、部下が休職や退職をしたり、不満を持った部下がSNSで社内事情を拡散して大事(おおごと)になるケースも少なくない。年長者とフレッシャーズ(若手社員)の摩擦が起きやすい時代になっているが……。
スマイリー いまの時代、「○○ハラスメント」というワードが数えきれないくらい存在していて、例えば、柔軟剤の香りが「スメルハラスメント」だなんて言われたら、怖くて何も使えなくなってしまう。もう、山の中で生活するしかない、と(笑)。新入社員にあまりに厳しく接するとハラスメントになるので、上司は綱渡りの毎日でしょう。「明日から来なくてもいいよ」と言われたら、昭和のサラリーマンはしがみついてでも会社に来ました。平成になると、本当に来なくなってしまう。そして、令和になると、「パワハラです」と訴状を持って現れる――時代が変わってきているので、上司は職場での姿勢をアップデートする必要があるでしょう。
また、企業などで講演をするたびに僕が思うのは、SNSへの向き合い方のガイドラインを作っておいたほうがよいということ。ある企業で働いていた人が、離職後にYouTubeで会社の内情を暴露するのはよくあるケースで、動画を削除するには、YouTube側への交渉も不可欠となります。そうした面倒を防ぐために、ガイドラインを作成し、企業のトップから末端のアルバイトスタッフまで行き渡らせることをおすすめします。