(左)ソフトバンクの大阪・堺AIデータセンター、(右)最新のAIサーバー製品について説明するエヌビディアのジェンスン・フアンCEO Photo by Reiji Murai
ソフトバンク、ソニーグループ、ホンダ、NECを中核に44社が出資するノエトラが、米エヌビディアの最新AIサーバー製品「ベラ・ルービン」の導入準備に入った。政府の2026年度支援額3873億円のほぼ全額が充てられる見通しで、27年4月から1台当たり約10億円相当と見込まれるAIサーバーラック約380台をソフトバンクのAIデータセンターに導入する。特集『AI産業戦争 米中覇権に呑まれる日本』の#18では、ソフトバンクのAIデータセンター技術が鍵を握る国産フィジカルAI開発の最前線に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
エヌビディアCEOが「全面支持」
国内最大AIデータセンター計画が始動
「日本のフィジカルAIに関するインフラは、日本国内に構築されるべきだ」――。
7月16日、経済産業省が東京都内で開いたイベントで、米エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、政府主導でノエトラが進める国産AI(人工知能)基盤モデルの開発へ全面的に支持を表明した。
ノエトラは、国産AI基盤モデルを開発するために必要となるエヌビディアのGPU(画像処理半導体)を大量に購入する。その原資となるのが、日本政府による最大3873億円の支援だ。つまりエヌビディアにとって、日本政府は日本市場で最大級の顧客となる。関係者によると、フアン氏の今回の来日は、経産省からイベントの参加の要請を受けたことがきっかけだという。
会場には、赤沢亮正経済産業相に加え、ノエトラの主要株主であるソフトバンク、ソニーグループ、ホンダ、NECの4社のトップが居並ぶ中で、フアン氏が政府主導の国策会社であるノエトラのイベントに参加した背景には、こうした事情がある。
フアン氏は5月下旬から6月上旬にかけて台湾に2週間滞在し、その直後に韓国を5日間の日程で訪問した。続くアジア歴訪となった7月15~17日の日本滞在では、この経産省イベントが最大の公式日程となった。
エヌビディアは、ノエトラに最新AIサーバー製品「ベラ・ルービン」を供給する。ノエトラは、これを搭載したAIインフラを2027年4月から構築を始める。完成すれば、日本最大規模のAIデータセンターとなる見通しだ。
もっとも、現時点で日本政府がエヌビディアからベラ・ルービンの供給について確約(コミットメント)を得ているわけではない。ベラ・ルービンは26年末から供給が始まる見込みだが、近年のエヌビディアでは新型製品の立ち上がりが遅れるケースが頻発している。
争奪戦が見込まれるベラ・ルービンの調達について、ダイヤモンド編集部の取材に応じたノエトラの丹波廣寅社長は、こう明かす。
「イベントでフアン氏から“協力の意思表明”を得たのは事実だが、優先的に製品を確保できる立場になったわけではない」
エヌビディアが最優先で出荷するとみられるのは、グーグルやアマゾン、マイクロソフトなどの米ハイパースケーラーだ。ノエトラは、その次の“2巡目の供給枠”で確保を目指すという。
ノエトラのAIインフラ計画は、エヌビディアの量産計画や出荷配分に大きく左右される。一方で、実際にこの巨大プロジェクトを形にする上で中心的な役割を担うのがソフトバンクだ。
ソフトバンクはこれまで経産省の支援を受けながらエヌビディアのGPUを大量調達し、国内でAIインフラを構築してきた実績を持つ。その経験がノエトラの国家プロジェクトを支えることになる。
次ページでは、経産省、エヌビディア、ソフトバンク、ノエトラの相関関係を図解し、日本最大規模のAIデータセンター計画の全貌を解き明かす。







