NewJeans(上)とILLITNewJeans(上)とILLIT Photo:SANKEI

日本の「未成熟」と韓国の「完成度」

 韓国の女性グループNewJeans(ニュージーンズ)と所属事務所ADOR(アドア)との専属契約をめぐる紛争は泥沼化し、かつてK-POPガールズグループを牽引した人気グループの先行きは不透明になっている。

 その一方で、かつて「NewJeansの亜流」と炎上したこともあるILLIT(アイリット)が、日本でも着実にファンを増やしている。

 以前の記事『K-POPが日本の若者を熱狂させる理由、BTS・TWICE・アイズワン…』でも書いたが、私の考えでは、日本のアイドルは「未成熟の一生懸命」を応援する対象である。歌が多少下手でも、その一生懸命さにファンは「萌えて」応援する。つまり、日本におけるアイドル消費は「楽しむ」と同時に「応援」の要素が強い。ここで求められるのは完成度ではなく、「かわいい」を成り立たせる「不足感」である。

 それに対して、韓国のガールズグループは早い時期から厳しいトレーニングを繰り返し、完成度の高さを競う。かつての「少女時代」に代表されるように、圧倒的な完成度で観客を「楽しませる」ことを核にしてきた。ハイヒールを履いて脚を長く見せ、寸分の隙もないパフォーマンスを披露するのが特徴である。

 近年、この境界が少しずつ曖昧になりつつある。それを象徴するのが、日本でも人気を博したNewJeansをめぐる騒動と、現在のILLITの快進撃だ。

TWICE人気を支えた「ストイックさ」

 韓国のガールズグループの日本市場攻略において、大きな役割を果たしたのがTWICE(トゥワイス)だ。TWICEは、同時期に台頭したブラックピンクの「ガールズクラッシュ」路線への対抗軸として、「カワイイ」の要素を積極的に取り入れた。

 もう1つ注目すべきは、日本人メンバー3人を加入させ、多国籍にした点だろう。3人はいずれも10代で単身韓国へ渡り、3年ほどの練習生生活に耐えた。とりわけ韓国語を習得する努力は並大抵ではない。

 日本人メンバーが韓国語を懸命に習得し、韓国社会に溶け込もうと努力する姿を見せることで、TWICEは「親日」という批判をかわしてみせた。日本人メンバーのグッズは韓国内の売り上げでも常にトップレベルであり、ときに文化的摩擦に苦しみながらも、「韓国のガールズグループ」のメンバーとしての役割をストイックに果たしてきた。

 TWICEでは、「日本人メンバーの韓国化」が徹底された。このあり方は「日本人メンバーによるK-POPグループ」といえるNiziU(ニジュー)についても同様だろう。

 TWICEは長きにわたり日本の若者にとって韓国ガールズグループの入り口となり、当初は日本人メンバーを応援していたファンが、やがて他国のメンバーやK-POPそのものへと関心を広げる原動力になった。