「上司も部下も、社会人全員が一度は読むべき本」「被害者や加害者にはならないためにもできるだけ多くの人に読んでほしい」と話題沸騰中の本がある。『それ、パワハラですよ?』(著者・梅澤康二/マンガ・若林杏樹)だ。自分はパワハラしない、されないから関係ない、と思っていても、不意打ち的にパワハラに巻き込まれることがある。自分の身を守るためにもぜひ読んでおきたい1冊。今回は特別に本書より一部抜粋・再編集して内容を紹介する。

「あの人はパワハラする人らしいよ…」噂だけで個人情報までネットで拡散されてしまう驚きの実態とは?『それ、パワハラですよ?』本文より ©️若林杏樹

「それってパワハラなの?」というようなことでも「事実」として拡散される

昨今では、社内で起きたパワハラ問題がインターネットで拡散されることもよくあります。

本来、情報を拡散する行為は、名誉毀損やプライバシーといった法的問題を伴うこともあるため、慎重に行われるべきです。

しかし、ネットの世界では「社内の不祥事の拡散行為を積極的に推奨する声」が大勢のように思われます。

最近では、ネットで話題となった事案を積極的にテレビやネットメディアが取り上げることもよくあります。

情報拡散が無秩序かつ連鎖的に行われた場合、本来は当事者間で解決されるべき私人間の問題が、いわゆる「炎上」事案として社会全体から注目されてしまいます。

不特定多数の人物により批判・非難の的とされることもめずらしくありません。

パワハラを許容しない風潮だからこそ、簡単に火がつく

パワハラを許容しない風潮は拡大傾向にあります。

このような社会的風潮の下、本来的には私人間(当事者間)の問題であるはずのパワハラ事案は、「企業全体のコンプライアンス意識や人権感覚の問題」として捉えられ、結果、炎上事案となりやすいです。

一度炎上してしまうと、企業に大ダメージとなることはもとより、被害者個人も無責任な憶測や批判で苦しむ可能性もあります。

このような「炎上」は企業側からも、被害者側からも回避するに越したことはないでしょう。

『それ、パワハラですよ?』では、パワハラになるかどうかがわかりにくい「グレーゾーン事例」を多数あげて、危機管理対策の方法を徹底的に解説しています。

いつ・誰がパワハラだと言われてもおかしくない世の中。管理職も部下も自分の身を守るために読んでおきたい1冊です。

[著者]梅澤康二
弁護士法人プラム綜合法律事務所代表、弁護士(第二東京弁護士会 会員)
2006年司法試験(旧試験)合格、2007年東京大学法学部卒業、2008年最高裁判所司法研修所修了、2008年アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所、2014年同事務所退所、同年プラム綜合法律事務所設立。主な業務分野は、労務全般の対応(労働事件、労使トラブル、組合対応、規程の作成・整備、各種セミナーの実施、その他企業内の労務リスクの分析と検討)、紛争等の対応(訴訟・労働審判・民事調停等の法的手続及びクレーム・協議、交渉等の非法的手続)、その他企業法務全般の相談など。著書に『それ、パワハラですよ?』(ダイヤモンド社)、『ハラスメントの正しい知識と対応』(ビジネス教育出版社)がある。