ただ、コロナ禍を経た「Beyond Station構想」は、駅中心の開発からマチナカへの展開を掲げた「NEXT10」から一歩進み、駅をエキナカ・マチナカ・オンラインに「つながる」空間と位置付け、オンラインショップ「JRE MALL」の商品を駅改札で受け取れるサービス、駅で健康診断やオンライン検診を受けられる「スマート健康ステーション」、通勤定期券利用者へのサブスクリプションサービス「JRE PASSPORT」などを提案している。
現時点ではいずれも試行錯誤の段階で、駅ビルなどとは異なり、経営にインパクトを与えるほどの効果は挙げていない。だが目的は、各サービスでいくらの利益を挙げるかではなく、利用者の生活にさまざまな接点を作り、JR東日本経済圏に組みこむことにある。
今後はSuicaを駅空間と駅商圏をつなぐデジタルプラットフォームと位置付け、顧客との接点を増やすことで新たなビジネス機会を創出する方向を明確化している。
旧社宅のリノベーションや
跡地の再開発で賃貸物件を供給
「NEXT10」の特徴は、沿線における生活に密着した「まちづくり」への意欲だ。とくにジェイアール東日本都市開発が担当する住宅事業は、賃貸住宅管理戸数を2026年度までに2016年度比5倍となる3000戸とする意欲的な目標に掲げ、ターゲットを明確にした「提案型賃貸住宅」を次々に開発した。