財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会は10月28日、JR各社が国に支払う整備新幹線の線路使用料である「貸付料」の見直しを提案した。開業時の設定が30年間変わらない現行制度がなぜ今、検討の対象となったのか。財務省の狙いを考えたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
財政制度等審議会が
貸付料の見直しを提案
10月28日、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会は、JR各社が国に支払う整備新幹線の「貸付料」について、開業時の設定が30年間変わらない現行制度を見直すべきだと提案した。財務省は分科会の提案をふまえ、次の契約更新や新規着工に向けて具体的な内容を検討するという。
翌29日、斉藤鉄夫国土交通大臣は定例会見でこの件について問われ、「昨日の財政制度等審議会財政制度分科会において、整備新幹線の整備や貸付料のあり方について、ご議論が行われたと承知しています」とした上で、「まだ議論が行われている最中と認識しています」と述べ、コメントを控えた。
分科会の議事録はまだ公表されていないため、財務省の諮問に対し、どのような審議が行われたかは定かではないが、財務省が提示した資料が公表されているので、これをもとに財務省の狙いを考えたい。