これに対してタッチ決済は、使用履歴を集計して割引後の金額で請求するため、利用額が一日乗車券の金額を超えた分は請求しないなどの柔軟な対応が可能だ。

書影『JR東日本 脱・鉄道の成長戦略』(KAWADE夢新書)『JR東日本 脱・鉄道の成長戦略』(KAWADE夢新書)
枝久保達也 著

 もともと決済額ベースでは、キャッシュレス決済の8割以上がクレジットカードだ。Suicaが電子マネーを定着させたのと同じ構図で、手持ちのカードをそのまま使えるタッチ決済は今後の主流になる可能性が高い。とくに訪日外国人旅行者にとっては、手持ちのカードで完結するメリットは計り知れない。

 JR東日本はタッチ決済には「我関せず」の態度を貫いているが、センターサーバー式新型Suicaはクレジットカードに近いシステムであり、Suicaに欠けた機能を強化すればするほど、サービスはタッチ決済に近づいていく。

 クレジットカード大手と直接対決になったとき、加盟店開拓などは百戦錬磨の彼らに到底太刀打ちできず、難しい舵取りを迫られることになるだろう。最悪の場合、JR東日本はユーザーのニーズに対応できない、タッチ決済の“孤島”にもなりかねない。