確かに低選抜大学出身でも、意欲的で才能がある学生はいるでしょう。しかし、そういった人材は必ずしも多くはありませんし、発掘するには今まで以上に大勢の学生に接する必要があり、これまで踏襲してきた採用プロセスやスケジュールも変更しなければならないかもしれません。
これには時間と手間がかかりますし、採用担当社員の人件費もかかります。結果的に、これは企業にとって非効率なのです。
一方「社会の論理」で考えると、学歴フィルターは大きな問題です。なぜなら、これは偏差値の高い大学の学生が有利になる、不公平な仕組みだからです。
しばしば指摘されることですが、一部の国立大学や海外大学など「超・上位大学」の入試を突破するには多額の教育資金が必要になります。それを用意できる経済力を持つ家庭の子供が超・上位大学に入学し、卒業して優良企業に就職し、高収入をもらい続けるわけです。このサイクルが続けば、社会の格差が生まれ固定化します。
学歴フィルターの被害を直接受けるのは、低選抜大学の学生です。なぜなら採用されないにもかかわらず、無駄な時間と労力を費やすことになるからです。その分だけ、公正な採用を行う企業の採用に向けた準備ができなくなります。彼らの中には、学歴フィルターを使っているならば、そのことを公言してくれたほうがありがたいという声さえあります。