復活した「学歴フィルター」
その存在は就活では暗黙の常識

 ただしこの風潮も、バブルの崩壊とともに下火になりました。逆に2000年代に入ると多くの企業が「大学名を問う」方向に戻り始めました。2010年頃には、既に「学歴フィルター」「ターゲット大学」という言葉が就活生の間で話題になっています。2011年時点の就活生向けサイトが募集する「就活川柳」には、次のような就活生の作品があったと福島氏は言います。

『参加したい説明会があったけど常に満席学歴フィルター』

 この当時、既に就活生の間では学歴フィルターの存在が知られていたのでしょう。その後、現在に至るまで学歴フィルターは、ひっそりと採用の世界における常識として存在し続けています。多様な人材を確保するために「学歴不問・人物重視」を謳う企業もありますが、必ずしも実態に即していないようです。

 この「学歴フィルター」を使うことの、良し悪しを評価するのは簡単ではありません。なぜなら、関わる人や主体によって利害が相反するからです。

企業は高レベルな人材を
低い採用コストで選抜したい

 例えば「企業の論理」では、学歴フィルターにも一定の合理性があります。