実際、あるベンチャー企業は学歴で選別していることを理由と共に公にしましたが、それは学生たちに好意的に受け取られたようです。とにかく学生たちは、隠れてこそこそと学歴フィルターで選抜するのは止めて欲しいと思っています。

不公平を無くすために
学ぶべきは行動経済学

 逆に学歴フィルターのメリットを、直接的に享受するのは超・上位大学の学生ということになります。特定の学校に在籍しているだけで、それがアピールポイントになり、実質的な競争倍率も下がるからです。

 このように学歴フィルターは、社会的な問題です。ただし、効率性を求める企業が学歴フィルターを使ったとしても、それを巧妙に隠せばバレないかもしれません。使用を公表する義務はありませんし、公表はリスクを伴うので企業は隠し続けるでしょう。企業の意識が変わらない限り、根本的な解決は困難です。

 この問題に対する行動経済学的な基本姿勢が1つあります。それは「効率性は最重要ではない」というものです。その根拠は行動経済学が、合理的で利己的な人間像の否定から始まっていることです。企業や人が効率を求めた結果、不公平な社会や不幸な人が生まれることがあります。このような問題の解決に対してこそ、行動経済学は役立つべきかもしれません。