一般的なユーチューバーの動画は作品としてのクオリティは高くありません。しかし、それと関係なくファンとのつながりや絆は生まれ、強まります。企業などが作る中途半端にクオリティの高い動画や、制作費をかけた企業チャンネルの動画が数百回~数千回しか視聴されない一方で、ユーチューバーの作った簡易な動画がコンスタントに数十万回~数百万回再生されるケースはよくあります。

スポンサー優位の制作環境下では
テレビ番組がつまらないのは当然

 ここまでいくつかユーチューバー人気の背景を述べましたが、それら以上に強い影響を与えたのは、人々の「テレビ離れ」でしょう。従来型の強大なメディアであったテレビが力を失い、相対的にYouTubeなどのネット動画の価値が上がったのです。

 今のようなデジタル社会が到来する前は、テレビが最大の娯楽でした。リビングにテレビが置かれ、家族が集まって見るのが普通の家庭でした。ところが今は、家の各部屋にパソコンやスマホがあり、家族それぞれが好きなものを見ています。マーケティング戦略においても、それぞれのスクリーンで伝えるべき内容やタイミングを組み合わせなければ広告効果が上がらないのです。ただし、メディアが増えても視聴者の時間は1日24時間と限られています。時間をコンテンツが奪い合っているのです。