ちなみに、先ほどの小学生対象の「将来就きたい職業ランキング」調査の際には、保護者に対しても「子供に就かせたい職業」を聞いています。
保護者が望む職業は、1位が専門資格や高い技術を必要とする「専門職」、2位が「大企業の社員」、3位が「教師・公務員」です。安定した人生を送れる職業を望む保守的な姿勢が窺えます。
子供が希望する職業の傾向とはかなり違います。職業を考えるうえで高年齢層は安定を重視し、小学生は重視していないかのように見えます。
就きたい職業の2位が「ユーチューバー」であることが報道されるのも、不安定な職業を目指す小学生に対して高年齢層が意外性を感じるからだとも考えられます。
橋本之克 著
しかしながら「ユーチューバー」と、例えば「パティシエ」において、職業としての安定性に大きな違いはあるのでしょうか。有名な人気店に勤め続けられるのでない限り、パティシエも安定した職業とは言えないでしょう。
それにも関わらずユーチューバーだけが注目されるのは、高年齢層の心の中に「ユーチューバーを仕事にして、生きていくこと」を善しとしない気持ちがあるためだと考えられます。
その気持ちは、ユーチューバーを生業とすることに対する「リスク」ではないかと、私は推察します。リスクへの認識の違いが高年齢層と、「ユーチューバーになりたい」と表明する小学生との間にギャップをもたらしていると思うのです。