結局、退場処分の理由は「審判員への侮辱行為」になりました。

 森さんは現役選手、コーチ、監督を通じ、プロ野球ユニフォーム生活35年目にして初めての退場だったそうです。以来、会うたびにいつも言われます。

「アンタが俺を初めて退場にしたヤツやな」

「ああ、そうでしたか。光栄でございます(苦笑)」

プロ野球界の「元旦」である
開幕戦で放った禁断の宣告

 2004年4月2日の開幕戦、巨人-阪神戦(東京ドーム)。あの「打撃の神様」川上哲治氏(元巨人)がユニフォーム姿で始球式のマウンドにのぼったのです。当時84歳でした(2013年没、享年93歳)。

 この年から巨人は原辰徳監督に代わり堀内恒夫監督、阪神は星野仙一監督に代わり岡田彰布監督が就任。開幕投手は巨人が前年16勝の上原浩治投手、阪神が前年20勝の井川慶投手の両エース。いやがおうでも緊張感が高まる中で、試合は進行しました。

 巨人の3対2で迎えた7回表、マイク・キンケード選手(阪神)が、球審の私の「ストライク・スリー(三振)」のコールに対して、面と向かって「XXXX」と言ったのです。私は「審判員への暴言」を理由に、退場処分にしました。

 シーズン最初の試合である開幕戦は、言わばプロ野球界における「元旦」です。