いつもはヨレヨレのジーンズ(失礼……)で取材するプロ野球記者が、ペナントレース開幕戦(と日本シリーズ)だけはスーツとネクタイを着用して見違えるようです。

 厳粛な雰囲気の中で、できれば揉め事を起こしたくありません。その一方で、2003年にセ・リーグ審判部長に就任した私は、何かあったら毅然とした態度で臨まなければ、他の審判員に示しがつかないという熱い気持ちもありました。セ・リーグ開幕戦での退場劇は初のことだったのです。

 それだけに、セ・リーグ事務所に提出する「報告書」は、所定のA4用紙の各項目にビッシリと詳細に書き込みました。何月何日、どの球場、対戦カード、試合結果、状況説明。退場させた選手が攻撃的な態度を取ったか、いかなる理由において退場をさせたのか。さらに対応した審判員はどのように感じたのか、責任審判の所感etc.。

 このように退場処分があったとき、当該球団(この場合、阪神)から「質問書」「申請書」「要望書」「抗議文」等がセ・リーグ事務所に届きます。審判員の報告書をもとにセ・リーグ事務所が対応するというわけです。

“常連”ブラウン監督の
楽しみなパフォーマンス

「今回はベースを引っこ抜いて投げるのかな、スパイクを脱ぐのかな」

 審判員の立場で不謹慎ですが、マーティ・ブラウン監督(広島ほか)に関しては内心、抗議されるのが面白くて、私にとって数少なかった広島遠征が楽しみで仕方ありませんでした。