現地に足を運んでほしいのが
自治体の本音

 自治体にとって、ふるさと納税による税収増はもちろんだが、現地に足を運んでもらい、そこで宿泊や飲食をしてもらうこともありがたい。それで、現地で使える電子商品券等を返礼品として発行し、それを支払いに充当してもらおうという取り組みも増えている。

 さとふるでは返礼品として「PayPay商品券」を選択すると、寄付額の3割の金額までの電子商品券が受け取れ、その自治体に旅行した際の支払いに利用できる(地場産品の基準を満たす商品やサービスを提供する店舗や施設が対象)。年末年始の旅行先が決まっているなら、そうした返礼品の選択も一つだろう。

 このところ、「関係人口」というキーワードを耳にするようになった。他の地域に住んでいながらその自治体に関わりを持ってもらえる人材を増やしていこうという取り組みだ。ふるさと納税でその土地を訪れた旅行者が、それをきっかけに自治体のファンになってもらえれば、例えばリモートワークの拠点としてその地域を選んでもらえるかもしれない。

 定期的に訪れてくれる人に、地方の行事に協力してもらえる道筋もつけたい。いきなり移住はハードルが高いが、サブ住人のような立場で関わってもらえる人を増やしていければ……という考え方だ。

 自治体を応援するという趣旨のふるさと納税には、本来ならそういう目的もあったはずだ。それがすっかり亜流のショッピングモールになってしまい、自治体としての色はすっかり隠れてしまっている。ふるさと納税を管轄する総務省は、「関係人口」事業にも力を入れていることもあり、いずれは返礼品一辺倒の制度が見直される可能性もあるのではないか。