《2019年5月、東京都の有識者懇談会「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」の名誉顧問に就任した。小池百合子知事からの直々の就任要請を受け入れたが、2016年7月の知事選の経緯から、すぐに受諾する気にはなれなかった》

書影『一片冰心 谷垣禎一回顧録』(扶桑社)『一片冰心 谷垣禎一回顧録』(扶桑社)
谷垣禎一 著、水内茂幸・豊田真由美 聞き手

 小池さんもマメな人でね。私の入院中は病院の下を通りかかると「今、下を通っています」とメールをくれることがあったんですよ。名誉顧問を頼まれたのは退院後。私の家にお見舞いに来られたときでした。移転問題でいろいろあった市場の果物を手土産にね(笑)。

 ただ、小池さんに言われたからといって、すぐ引き受ける義理はなかったんです。私がけがをしたのは、小池さんの出馬で自民党が分裂した知事選のときでしたからね。

 でも、「障害者の気持ちがわかる人にやってほしい」と言われると、それでもノーとはなかなか言えませんでした。知事選の経緯がどうであろうと、パラリンピックの応援団は引き受けざるを得ない。多少はお手伝いしないといけないと思ったのです。