皇位継承問題の決着は
立憲民主党の反対で先送りに
小泉内閣の時、女系天皇を可能にする案が検討されたが、悠仁さまの誕生で沙汰やみになった。とはいえ、公務の担い手は減っているし、悠仁さまに男子がいなかったときの備えも必要なので、各党間の意見集約が進み、この通常国会で合意しそうだった。ところが、立憲民主党の頑強な反対で先送りになった。
「なにも急ぐことではない」という問題ではない。「女性皇族が単独で結婚後も皇族身分を保持すること(単独残留)」と「旧宮家出身の男系男子を養子縁組で皇族とすること(旧皇族養子)」は、いずれも焦眉(しょうび)の急なのだ。
「単独残留」が可能になれば、佳子さまや愛子さまの結婚相手の条件は根本的に変わるため、見通しが立たないと縁談は進められない。
「旧皇族養子」も、養子を取る側の常陸宮殿下がご高齢なだけに、早期の決着が望ましい。
週刊誌「女性自身」は、『佳子さまら女性皇族をますます「結婚できない」状況に…天皇陛下も“ご苦言”呈された「岸田首相の大失態」』という記事を書いている。
もちろん、皇位継承という安倍元首相から引き継いだ宿題を仕上げると言いながら、腰砕けに終わった岸田首相にも責任の一端はある。
しかし、国会決議で設けられた安定的な皇位継承策を議論する有識者会議(座長・清家篤前慶応義塾長)の報告に基づく、先述の二つの提案(単独残留と旧皇族養子)に対し、自民・公明だけでなく、維新や国民までもが賛成に回ったのに、立憲民主党がかたくなに自説に拘泥したから頓挫したのだ。
そして、立憲民主党にあって「安定的な皇位継承に関する検討委員会」の委員長として一人で成案を妨害したと批判されるのが野田佳彦元首相である。
「単独残留」を否定し、配偶者や子どもも皇族にしろと要求し、「旧皇族養子」は、希望者がいるか具体的に確認してから制度を議論しろ、憲法上の疑義があると言い張った。
野田氏は首相時代、皇族女性が結婚したのち「女性宮家」を創設して配偶者や子も皇族とすることを画策した。だが、小室圭氏の出現により、皇族女子と国民が皇族にふさわしくないと感じる男性との結婚は杞憂(きゆう)でないことを立証され、支持を失った。
小室氏のケースは極端だったが、いずれにせよ、民間出身者が男性皇族になることのハードルが高くなり、佳子さまや愛子さまの結婚相手を見つけるのは困難になってしまう。
「単独残留」を否定する人たちは、夫婦や親子で法的な立場が違うのは異常だと主張する。だが、国際結婚した夫婦や親子であれば、国籍すら違ったままであることも多い。それと比べればなんということではない。
また、有識者会議の案は佳子さまや愛子さまの子孫が皇位に就くことの可能性を将来ともに排除しているわけでもない。悠仁さまに男子がいなかった場合、男系も女系も道を残しており、つまり、延長戦なのだ。また、佳子さまや愛子さま一人だけの家を、女性宮家と呼ぶことも可能だ。
女性皇族の配偶者の立場は、首相夫人と似たようなものになる。公人ではないが、公務にも参加する。また、社会的に好感をもたれていない人物や、利権に絡む企業の経営者などが関わるような、常識的に首相夫人に好ましくない仕事であれば、外遊や公の場所に首相夫人として同行させないようにする。特に政治家はそうだが、これは女性皇族の夫も同じだ。