「女ががめついからだ」
高額結納金を非難する男たち

 李研究員は、彩礼をはじめとした結婚費用の高額化がとくに農村の若い男性にとって結婚への最大の障害になっていると分析する。

 中国では婚姻件数が急速に減っており、少子化の一因と指摘されている。男女ともに結婚しないことにはさまざまな理由があるが、男性側はまず彩礼の高額化をやり玉にあげる。ネット上では「女が金にがめついからだ」などと女性側への非難があふれている。彩礼は、中国で先鋭化する男女間の断絶や意見の衝突の最前線ともいえる。

 中国政府は、彩礼の高額化が婚姻件数の減少と少子化の一因と認識している。

 2021年5月に公表された中国共産党中央と国務院による「産児政策適正化と長期的な人口の均衡と発展に関する決定」は、すべての夫婦に3人目の子どもの出産を認めた。決定は「結婚に関する因習、高額な彩礼など社会の不良な気風に対する管理を行う」とも言及した。

 党中央政治局会議はこの決定を出した際、「人口高齢化への対応は、高い質での経済発展を実現し、国家安全と社会の安定を維持する重要な措置だ」として少子高齢化への強い危機感を示した。