稲盛さんは、経営で一番大切なことは全員参加経営を実現することであり、アメーバ経営はそのために必要な経営手法だと話していました。

売り上げや経費などの重要な数字は
全体ではなく個別で見ないといけない

 アメーバ経営においては、「1人1人が経営者」であり、「1人1人の社員が主役」です。これは全員参加経営というより、稲盛さんの言う「全員重役経営」なのかもしれません。つまり、1人1人の社員が中小企業の社長や役員のような責任感とやる気を持って仕事ができる仕組みなのです。

 アメーバ経営では、組織を事業ができる最小単位に分けて、それぞれにリーダーを置きます。これを稲盛さんは「組織を小さく分けないと現場に関心が向かない」ので「事業を因数分解して、できるだけ多くの採算部門に分ける」とも説明しています。

 このとき注意すべきことは「複合体のデータを見て判断してはダメ」ということです。1つのアメーバに売上や経費の性質が違う事業体が混在していると、正しい判断、正しい経営はできないからです。