アメーバ経営を正常に機能させるために、リーダーは事業の内容・人やモノ・お金の流れを正しく理解し、社内売買や口銭の利率など多くの取引ルールを本社の担当部門と相談のうえ、設定しなければなりません。そのうえで、メンバー全員がよく分かる家計簿のような採算表を作る必要があります。そのため、リーダーは「実際の現場の伝票処理まで正しく分かっていなければならない」と稲盛さんは注意しています。

 会社経営者も当然、それぞれの現場の実情を十分理解したうえで、全社で整合性・合理性のある精緻な管理会計のシステムを築き上げなければなりません。それがアメーバ経営の組織運営の基盤となるからです。それゆえ、稲盛さんは「経営を科学したのがアメーバ経営」との表現もしていました。

社員全員に役割と責任を与え
リーダーも育てるのがアメーバ経営

 アメーバ経営では、10名程度で組織される小さなアメーバと呼ばれる事業体を作り、各アメーバのメンバー全員で「売上最大、経費最小」を目指します。売上が増えれば人数を増やし、売上が減れば人数を減らすこともできます。それは変幻自在なアメーバのようだというので「アメーバ経営」と命名されました。