予定組みの際、上司はどうしてもやや高めの目標を掲げようとしますが、現場の社員は実情が一番分かっているので、やや保守的な目標を目指そうとします。そこには当然乖離が生まれますが、それを上司が力ずくで埋めるのではなく、十分な時間をかけて、徹底的に議論し、トップダウンとボトムアップを融合させた、誰もが心の底から納得できる予定を組まなくてならないというのです。なぜなら、全員が達成できると心から信じている予定であれば、必ず実現できるはずだからです。

 稲盛さんは、「アメーバ経営は予定組みに始まり、予定組みに終わる」と説明し、このように全員参加で徹底した議論に基づいたマスタープランや月次予定の作成プロセスの大切さを強調しています。

 そのようにして作成された直近の月次予定は、丁寧なプロセスを経て全員の総意のもとで決められたはずですので、下振れも上振れもない100%達成が求められます。ですから、99%の達成率であれば普通はよくやったと褒められるのでしょうが、稲盛さんは「それが一番だらしない。あとの1%が達成できなかったとすれば、それはリーダーの執念の問題だ」と厳しく指摘していました。