デザイナーは「ほぼ経営者」になれるのか

――デザインの役割が拡張しつつある現在、CDOのような立場に就くデザインリーダーには、どのような資質が求められるでしょうか。

 クリエイティブ組織の長として「質の高いアウトプットをディレクションできる」ことは当然ですが、「クリエイティブ組織の外の人と合意形成できる」ことがより重要となります。後者を実現するためには、デザイン的な取り組みをビジネスの言語や数値に翻訳すること、さらにそれが企業価値を高めるという目的で説明できなければなりません。

デザイナーは本当に経営目線で判断ができるのか?デザイン経営の成功の鍵を握るCDOの条件

――デザインという専門的な領域で仕事をしてきた人に、企業価値という総合的な視点を求めるのはかなり難しいと思います。

 ほぼ経営者ですから、スキルや知識だけではなく、パーソナリティーや姿勢といったことも関わってきますので、それを1人の人格に求めるのは偶然性が高い。そこで、1人で両立できない場合は2人で担う形にしてもいいと思います。インハウスのデザイナーのキャリアパスとして、クリエイター寄りの上級CD(クリエイティブディレクター)と、経営者寄りのCDOの2種類を置く。この2人が内で徹底的に議論をして、外に対して発信していけば、今CDOに求められている役割を果たせる可能性があります。