仕事もできて感じがいいのに
出世できないのはなぜ?

 一方で、「感じが良いのに出世しない人」も少なくない。こうした人々は同僚からの人望が厚く、協調性や思いやりに溢れている。

 しかし、彼らが出世の機会を逸することがあるのは、しばしばその柔和さが、決断力の欠如と見なされるからかもしれない。また、自己アピールが下手で、実績を上司に認識してもらえない場合もある。結果として、彼らの能力は影に隠れ、評価されにくいのだ。

 協力的で人柄も良いにもかかわらず、出世の道が遠いとされる人々も、その特徴によっていくつかのタイプに分類できる。

「コンセンサス・ビルダー」タイプ:みんなを尊重

 このタイプの人は、常にチームの意見を尊重し、全員が一致する解決策を模索する。彼らは非常に協調性が高く、人間関係をスムーズに保つことにたけているが、それゆえに決断を下すのが遅れがちだ。結果として、リーダーシップに欠けると見なされ、出世の機会が少なくなる。

「サポーター」タイプ:チームの要だがアピールが苦手

 常に他人を支援し、周囲のニーズに敏感なこのタイプは、チームの要となる存在である。しかし、自分のキャリアよりも他者の成功や全体最適を優先する傾向があり、自己宣伝が不得手であるため、自分の実績や貢献が適切に評価されないことが多い。このような無欲さが、彼らの出世を妨げる要因となる。

「実務屋」タイプ:適応力に難があることも

 全ての仕事を完璧にこなそうと努力するが、その過程で細部にこだわりすぎてしまうこのタイプは、時として効率を損ねる。彼らの仕事は質が高く、信頼されるが、スピードや大局観が求められる状況では、適応が難しいこともある。また細かいことにこだわりすぎる実務屋と見られてしまう。このため、彼らの慎重さがキャリアアップの障害となることがある。

 これらのタイプは、人間関係は良好でも、出世の道は必ずしも開けない。組織内で評価されるには、これらの個性を生かしながらも、自己アピールや決断力を周囲に見せる必要がある。