金利のある世界に突入し、預金の重要性が増している。そこで地方銀行における金利上昇前と直近の預金残高を調べ、増減率を算出。低い順に並べた預金増減率ワーストランキングを作成した。特集『新・銀行サバイバル メガバンク 地銀 信金・信組』の#5で、ワースト40行を公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
重要性が増す預金残高
相続も預金流出のトリガーに
金利のある世界に入った銀行業界で、重要度が急浮上している指標が預金残高だ。
預金は銀行にとって信頼のバロメーターとも言われるが、この数十年、銀行はほとんど注目していなかった。それはデフレとマイナス金利が続いていたため、預金を集めても資金需要がなく、貸し出しには回せない。さりとて、有価証券運用に振り向けようにも、低金利で運用益は期待できなかったからだ。
だが金利上昇時代に入った今、預金の持つ意味は百八十度変わった。景気回復によって資金需要が復活し、さらに運用環境も好転している。銀行にとって、預金が収益を生む環境になっているのだ。
既にメガバンクやインターネット上でサービスを行うネット銀行を含め、預金獲得競争がスタートしている。だが、互角に戦える地銀は一部の大規模地銀だけだろう。多くの地銀は知名度や信頼度ではメガの足元にも及ばず、主流となりつつあるネット上のサービスの使いやすさにおいても、ネット銀行に対して勝ち目がない。
さらに今後は、地方に住む高齢者の預金が、相続によって都市部に住む子や孫世代に移転される。そのときその預金は、メガやネット銀行、東京や大阪など都市部を拠点とする大規模地銀へ移されるだろうと予想されている。
そこで、24年9月末の預金残高が、金利上昇前の22年3月末時点での預金残高と比べて、どれほどの増減があるかを、「QUICK Finer Compass」のデータを基に算出。数値が低い順に並べた「預金増減率ランキング」を作成した。預金流出が著しい地銀はどこか。次ページで公開する。