小さな設置面積で済むのは、原子力発電所も同じだ。資源エネルギー庁によると、電気出力1ギガワット級の原子力発電所の場合、敷地面積は1基あたり約60ヘクタール(0.6平方キロメートル)となっている。ただし、仮に原子力発電所で放射能漏れを伴う事故が発生した場合には影響が広範囲にわたる。正常時の敷地面積だけで比較するのはややフェアではないのは確かだ。

山手線内側にパネルを敷き詰めて
ようやく原発1基ぶんの発電量

 ここまでの比較では設備利用率を考慮していないが、液化天然ガス(LNG)火力発電と原子力発電は70%、太陽光発電(事業用)は17%、風力発電(陸上)は25%という数字を考慮すると、長期間にわたって発電を続けた場合の敷地面積あたりの発電量は、火力発電や原子力発電がさらに有利となる。太陽光発電や風力発電が大きな発電量を賄うためには、設置場所に苦労するのが目に見えているのだ。

 設備利用率を考慮した上で、電気出力1ギガワットの原子力発電所1年分と同じ発電量を得るために必要な設置面積を計算するとどうなるだろうか。

 資源エネルギー庁の資料を引用すると、太陽光発電で約58平方キロメートル、風力発電であれば約214平方キロメートルという計算になる。約58平方キロメートルという数字は、東京の山手線の内側とほぼ同じになる。さらに、風力発電ではその3倍以上の面積が必要となる計算だ。例えば、太陽光発電であれば山間部の活用が、風力発電では洋上風力の活用が、設置面積を増やす有力な手段の1つになりそうだ。